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卒業公演に2作品を提供することになった作者・唐沢による稽古場レポートです
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 11月の顔合わせ以来、成長を見守ってきた研修生たちともいよいよお別れのときがやってきました。
 千秋楽の幕がおりてから3時間半後、懐かしい稽古場で打ち上げが始まりました。



 2年間(中途で入ってきた研修生は1年間)一緒に勉強してきた20名の研修生は、翌日からは別々の道を歩むことになります。
 つまり、この打ち上げは単なる公演の打ち上げのみならず「卒業式」でもあるわけです。

 緊張の糸が切れたのか、2年間の思い出を順番に語る研修生たちは皆涙、涙で…
 送り出す校長先生の南風さんも「今回の成功は裏であなたたちを支えてくれた大勢のスタッフのお陰。勘違いしちゃだめよ」と釘を刺しつつも「もっと厳しくすればよかった。外の世界は厳しいわよ。叱ってくれる親切な人なんてなかなかいないのよ…」とまた涙
 その姿に私もウルウル。。。

 音響の山崎さんは挨拶の開口一番「最初の稽古であったときのおまえらはみんな『綿谷りさ』だった!」。
 綿谷りさ????
 ……「蹴りたい背中」って意味だったらしい
 ちなみに、山崎さんはほんとに演出に背中を蹴られたことがあるらしいです。
 「本当によくなってきたのは2月に入ってから。それまでは本気でどうなることかと思った。プロなら稽古初日に2月1日の状態で来なきゃダメ」と最後の叱咤。

 一人ひとりのお言葉を伺って、あらためて、研修生たちは親切な厳しい方々に見守られて幸せな時間を過ごしてきたんだなと思いました。
 学校でも会社でもこんなに濃密な時間を過ごせる仲間はそうはいないでしょう。
 中には年齢制限ギリギリで勇気をふりしぼって入ってきたという人もいましたが、私が東宝戯曲科の試験を受けたときもまさにそういう気分だったので、その気持ちは痛いほどよくわかります。

 公演はいつだって一期一会ですが、卒業公演はその中でも特別なものです。ここからスタートする人もいるし、ここで去って行く人もいる。
 すでに役者になってしまった人ではなく、その手前にいる人たちだからこそ、「役者になるってどういうことだろう」「舞台に立つってどういうことだろう」という疑問にまっさらな気持ちで正面から向き合うことができたのかもしれません。

 最後に、キャストが決まったときに撮った写真と同じ組み合わせで、順番に写真を撮ってみました。
 あえて前の写真と今の写真を並べてご紹介してみます(左が前の写真で、右が今の写真です)。
 役作りのためにイメチェンした人もたくさんいますが、それを差し引いても皆さん顔つきが変わったと思いませんか?
 前の写真から2ヶ月弱しかたってませんが、この変化が彼らの成長を雄弁に物語っているのではないでしょうか(クリックすると拡大されます)。

 
<桃組/マダム・ノアールと倉谷>

 マダム役の松本佳奈と倉谷役の芝浩史。
 2人のマダムがあまりにもイメージが違うことが内外で話題に(笑)。
 松本さんのマダムは小悪魔っぽいイメージ。好き放題やって倉谷がフォローに走り回らされる感じでしたね。
 松本さんの貞子シーンは舞台だと最前列以外はちょっと見えにくいのが残念でした。何回観てもこわくておもしろいんですけど。

 
<桜組/マダム・ノアールと倉谷>

 マダム役の鶴岡瑛梨と倉谷役の佐藤哲太郎。
 鶴岡さんは包容力のあるマダムで、思わず頼りたくなる感じ(実際は女性最年少なんだけど)。佐藤君の未熟な感じと好対照で、実年齢はそれほど変わらないはずだけど、おばさんと甥くらいには見えました(笑)。ちなみに佐藤君の倉谷は、本人だけでなく、仲間からの推薦も非常に多かったキャスティングです。
 最後、マダムが千佳子の隣に並んで占いをしてあげるのは桜限定の演出でしたが新鮮でした。白目むきシーンは貞子シーンと並んで白眉ですね(笑)。

 余談ですが、カナちゃんから倉谷に電話がかかってくるシーン。桜と桃では着メロが違うのですが、桜が「ウルトラセブン」だったのにはお気づきでしょうか?
 じつは桜組が出演する土曜のマチネに「ウルトラセブン」の作曲者である冬木透さんがいらっしゃることがわかっていたので、サービスのために桜の着メロを「ウルトラセブン」にしたという経緯があるんです。
 それきいて佐藤くんは大興奮。彼はウルトラシリーズの大ファンらしい。終演後、「冬木さんにお会いしたい」と熱望する佐藤くんを紹介したんですが、「あの…ぼぼぼく…ウルトラシリーズのだだだ大ファンで…」と本番よりも緊張してかみまくってました。
 でも佐藤くん、冬木さんの隣には冬木さんのお嬢さんである女優の岡本舞さん(無名塾で若手俳優を育成中)もいらしたんですよ。挨拶するなら冬木さんよりこっちにしないとでしょ(笑)。

 
<桃組/橋本と千佳子>

 橋本役の藤間亮と千佳子役の田中亜依。
 永井さんから「困ったちゃん顔」と呼ばれている田中さんは、髪を切ってかなりイメチェンしました。
 田中さんいわく「キャスティングをきいたときはすべての役が桜のほうがぴったりだと思った」とのことですが、私は桃組の方が現実にありそうなコンビネーションに見えましたよ。
 桜は個性的でよりお芝居に近い世界という感じ。どちらもそれぞれの世界観が成立していたと思います。
  
 
<桜組/橋本と千佳子>

 橋本役の中山真と千佳子役の佐藤優衣。
 中山くんは、ずっと拓郎役を志望していましたが、年齢で断念したとのこと(笑)。橋本になることは予期していたようです。
 でも橋本役は書いてるときのイメージにかなり近かったですよ。すかした部分と見苦しい部分の落差をいかに出すかがポイントですが、両方すんなりできる人が意外に少ないんですよね。手を拭いたり、爪をかむなど、細かい表現も効いてました。
 佐藤さんも「最初から千佳子になるだろうと思っていた」とのこと。
 「桃はピュアなカップルに見えるけど、桜はどっちも腹黒そうと言われた」という話に爆笑。

 
<柳沢姉妹>

 右が姉・寿美子役の金子祐子で、左が妹・志津子役の伊藤真由。
 2人の中では、寿美子が美容整形外科医として大もうけしているという設定なんだそうです。
 キャスティングしたときから、なんか顔の雰囲気が似てるなと思ってたんですが、ずっと2人で芝居をするうちにますます姉妹のような一体感がでてきました。身長差があるのもいいですね。
 姉妹→女子高生→姉妹と早変わりも大変だったと思いますが、姉妹と女子高生が同じ役者だと気づかないお客さんもけっこういらっしゃいました。
 幕間劇の「イベリコネタ」は彼女たちが考えたものですが、毎日好評でした。終演後に無性に豚を食べに行きたくなった人は私だけではないはず(笑)。

 
<桃組/菜摘・拓郎・木綿子>

 右から、菜摘役の宮内里砂、拓郎役の漆谷幸星、木綿子役の奥村円佳。
 宮内さんの金髪にはびっくりしました。以来、「金髪の人」だけでどの人とも話が通じてしまってます(笑)。最初に会った頃は「なんかいつもつまらなそうな顔をしてるなー」という印象だったのですが、すっかり変わってしまいましたね。
 漆谷くんも髪を切ってから随分芝居がアグレッシブになりました。
 外見から入るのもけっこう重要なことですね。
 奥村さんは実年齢はまだ20代半ばのはずですが、観た人が「あの人は年齢40代くらいなの?」ときいてきたのでのけぞりました。
 女優さん的にはそう見えたのは成功なんでしょうが、いくらなんでも……それはショックですよね(笑)。

 
<桜組/菜摘・拓郎・木綿子>

 中央が菜摘役の阿部あさみ、左が拓郎役の大和田昇平、右が木綿子役の小内亜希子。
 木綿子の役替わりはマダムと並んで「あまりの違い」が話題でした。
 小内さんはあまりにも自分とかけ離れた役(受け身中心の芝居)に最初はストレスがたまってたまってしかたがなかったそうですが、気がついたら普段の言動もおしとやかになってきたとか(笑)。
 阿部さんは、比較的年齢高めの人がキャスティングされた菜摘&木綿子役の研修生の中では唯一「U25」。ずっと菜摘を希望していたので、希望役が通った数少ない研修生です。稽古中、プライベートで大変なことがあったりと平坦な道のりではなかったと思いますが、最後まで頑張りました。明るさといきの良さは若いからこそ出せる菜摘らしさだと思います。
 大和田くんは身長差10センチの個性的な恋人に戸惑っていましたが(笑)、いかにもお似合いという感じじゃないカップルだからこそこの話は成立すると思うので、インパクトという意味では桜は不足なしでしたね。

 
<望月と佳苗>

 望月役の福島義宏と佳苗役の齋藤智美。
 今回の公演でもっとも出番が少なく、もっとも強い印象を残した福島くん。
 望月も給仕も大好評でしたが、この2つを同じ人がやっていると気づいてない人も多かったようです。
 最初の読み合わせのとき、福島くんは非常に器用で、どの役でもできそうな印象を受けたので、逆にワンポイントでキュッと締める望月(給仕)は彼しかいないかなと思いました。
 でも本人はもっと出番の多い役を希望するとばかり思っていたので、正直、本人が望月(給仕)を希望してきたのは意外でした。
 打ち上げのときにその話をしたところ「自分はこれが初舞台だったので、ダブルではなくシングルで全公演に出て、1回でも多く舞台に立つ経験を積みたかった」という答えが返ってきてびっくり!
 初舞台というのにもびっくりだったし、「出番が少なくても、舞台に多く立ちたい」という堅実さも新人らしからぬ冷静さで驚きました。
 齋藤さんは読み合わせの声をきいた瞬間に「あ、カナちゃんがここにいる!」と思いましたが、普段しゃべる声と雰囲気は全然違うんですよね。
 アドリブも得意なのかと思ったら「苦手」とのことでこれまた意外。
 カナちゃんロッカーの華やかな内装(?)にはやられました。客席からも笑いがきてましたね。

 いずれも転換時の幕前芝居がある2人ですが、稽古時は毎回少しずつ内容を変えてきたのでその都度楽しませていただきました。
 私がけっこう好きだったのは、望月のバトル相手が「姉妹」だったという設定。なにかというと「マダムがマダムが」と口を挟む姉妹に望月がきれると、姉妹が蒼白になって「あんたにはいたちがついてる!」と叫ぶという話。
 その後、次の転換時にフラフラになったカナちゃんが登場し、「3時間どころか5時間だよ、望月。しかも『俺ってイタチに似てるかな』ってわけわかんない!」という望月つながりのアドリブが。
 結局本番では採用にならなかったけど、望月が言われたことを意外に気にするタイプだっていうのがおもしろくて爆笑しました。
 「チェンジ」を強調する本番のネタもおもしろかったけど、せっかくだから「YES WE CAN!」と望月に叫んでほしかったな〜。

 
<郁子と杏子>

 右が郁子役の中島亜子で、左が杏子役の越野佑梨。
 中島さんは短期間で随分アダルトになりましたね〜。「こういうおばちゃん、いるいる」と私のまわりでも好評でした。
 越野さんは年齢設定がかなり上だったので悩んでいたようですが、年齢よりも菜摘親子とのファミリー感が重要なので、そういう意味では自然に存在できていたと思います。2場では菜摘に合わせて若い格好をしていた杏子が、4場では菜摘に気を遣ったのかちょっとフェミニンで落ち着いた格好になっていたのがさりげなくいいなと思いました。
 ちなみに、私の中では、杏子は昔の日本映画のマニアで、拓郎の小津好きはその影響を受けたという設定になってます。

 以上、20名の皆さん、ご卒業おめでとうございました!
 さて、これが本当に最後。
 (ほぼ)全員の集合写真で締めたいと思います。



 みんながビミョーに左方向を向いているのは、集合の中に入ろうと今まさに芝くんがこちらに向かって走り込んで来たのにそれを待たずにシャッターがきられてしまったからです。
 また、藤間くんはいつのまにか帰ってしまってました…(笑)。

 この中の数名が、このあと劇団の推薦を受けてテアトル・エコーの研究生になれるわけですが、劇団に入れたからといって毎回当たり前のように舞台に立てるわけではありません。劇団の中でも役者たちは毎日が戦いの連続です。
 私も書いたものを「舞台にのせて」こその作家だと思って毎日戦っています。
 残った研修生も、残れなかった研修生も、「舞台に立って」こその役者だということを忘れずに、精進してください。
 いつかどこかで、成長した皆さんの姿を拝見できる日がくることを楽しみにしています。
 楽しい公演をありがとうございました!

 そして長いことブログを読んでくださった方、応援のコメントを書き込んでくださった方、公演に足を運んでくださった方、皆さん本当にありがとうございました!
 応援ブログの任務は無事終了ということで、これを最後の記事にしたいと思います。
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 今日は、本番の6回公演についてのレポートをお送りしたいと思います。
 通して観て驚くのは、本当にひとつとして同じ公演はないということです。 
 役者のコンディションも毎回違うし、その日のお客さんの反応度合いも違う。その組み合わせで毎日違う公演ができあがるというのが舞台のおもしろさなんですね。
 以下、忘れないうちに、メモをもとに1回目の公演から順番に振り返っていこうと思います。

■1回目/桃組(2/12木夜公演)

 最初のお客様は「おとなしい」という印象。
 一見した印象ですが、研修生のご家族とか、演劇を普段あまり見慣れていない方が多い感じ。舞台に集中はしているけど、反応はそれほど表に出さないように見えました。身内だったから緊張してたのかな(私みたいに)。
 「マダム・ノアールの占い事件簿」は、先ほどのゲネでかなりあがっていったので、今度は大丈夫かな?と思いきや、さらに固くなっていて、明らかに数カ所、セリフが真っ白になってしまい、あわてて創作している様子がみてとれました。いずれも稽古中は一度もとんだことがなかった箇所です。
 そういうミスが重なると、全体的に焦りが広がるのか、萎縮してしまってのびのびしたよいところが消えてしまい、ちょっと残念でした。
 そんな中、年の功(?)で一番落ち着いていたように見えたのが倉谷。なんとかこの浮き足立った雰囲気を立て直そうと奮闘しているのが伝わってきましたが、それが裏目に出て、妙に「しっかりした倉谷」に見えてしまいました。この作品を前から知っている友人の一人も「なんか地に足がついちゃった倉谷だったね」とコメントしていました。
 彼がどうこうというよりは、全体のバランスの問題なので、たまたまそう見えてしまったんだと思いますが、これが舞台のこわいところですね。
 「ファイティング・マザー」のほうはゲネに引き続き、安定した出来でした。桃組は最初は心配な部分がいろいろあったんですが、ラスト1週間でぐんとよくなり、コンビネーションが落ち着いたというか、常に一定以上のものを出せる安定感が感じられるようになってきました。

■2回目/桃組(2/13金昼公演)

 桃組2回目です。
 この日のお客様の特徴は、一言で言って「高年齢」(笑)。もっぱら私の関係のお客様が中心だったのですが、平日の昼ということで、年配のお客様や主婦の方などが圧倒的に多かったです。それは言い換えれば、研修生をまったく知らない(そしてエコーのお芝居も初めてという)お客様が多かったということ。
 で、その反応がどうだったかというと、1日目とは打って変わってものすごい反応の良さだったんです。「いくらなんでも笑い過ぎだろ」というくらい細かいところで笑いが大量に起こっていて、多分6回の公演を通して一番笑いが多かった公演だったんじゃないでしょうか。
 特に「ファイティング・マザー」のような人情の機微が中心になるお芝居は、人生経験が豊富なお客様ほど思い当たる節が多くて一挙手一投足一セリフに敏感になるのではと思いました。
 名古屋の初演でも意外なところで笑いがきてびっくりしたことがあったんですが、今度はまた「え?こんなところで?」という新たな笑いの鉱脈が発掘されていて、まだまだこの作品には私の知らない顔があると思いました。
 「マダム・ノアールの占い事件簿」は、初日のリベンジとばかりに、この日は緊張感を保ちつつ落ち着いた芝居になっていて安心しました。
 ただ、邪悪な念が憑依した千佳子が、勢い余ってソファの角に頭をぶつけて思わず「いてっ」と叫んだのにはドキドキしました(笑)。
 永井さんがあとで「流血してなくてよかったね」と言ってましたが、頭から流血しながら「悪用ってなんのこと〜?」とすがられたらかなり迫力があったかもしれないですね(笑)。 

■3回目/桜組(2/13金夜公演)

 桜組初日です。
 この回の公演は、6回中唯一席に余裕があった日で(他はすべて立ち見が出るほどの満席でした)、比較的、劇団関係者や業界関係者が多かったような気がします。私もこの日は前から2列目のセンターという公演中一番良い席で観劇することができました。
 正直なところ、桃組の初日の緊張感を観ているので、途中から登場する桜組はもっと緊張するんじゃないかととても心配していました。
 でも、予想に反して、すごく落ち着いていてなおかつ丁寧に演じているのが伝わってきて、稽古のときよりも確実にグレードアアップした出来だったと思います。
 笑いの反応も、昼公演と並ぶくらい豊富で(特に「マダム・ノアールの占い事件簿」はちょっと異様なくらい反応がよかったです)、中には笑いすぎて呼吸困難を起こしかけてる人もいました。
 桜組はマダムも木綿子も個性的なので、終演後に友達から「もう1チームもああいう感じの人なの?」としきりに聞かれて困りました。そんな…あんな個性派がそう都合良く何人もいるわけないでしょう!(笑)
 「桜も桃も全然雰囲気の違う人がやってるからまったく違うよ」と答えたら、「あ〜、観たい!もう1回観たい!もう1チーム観たい!」と地団駄踏んで悔しがっていたので、「だから私は最初から2チーム観るのがポイントですよ、ポイントですよって散々言ったでしょ!」と思わず望月のように熱弁をふるってしまいました。

■4回目/桜組(2/14土昼公演)

 桜組2回目です。
 この回の公演は最も入りがよかった回で、私は席が確保できず、劇団員の方達とともにギャラリーと呼ばれる2階の照明機材が設置されているスペースで観ました。
 初日はとても出来がよかった桜組でしたが、そういうときは往々にして「明日はもっとうまくやろう」という慢心というか欲というか色気というかスケベ心が入り込み、チームワークが乱れて思わぬミスが出たりするものなんですね(これが俗に言う「2日目落ち」というやつです)。
 この日の桜組は、残念ながらそれにはまってしまったような印象を受けました。初回のような緊張感がなかったし、ちょっとずつタイミングがしっくりきてないというか、集中力を欠いているように見えました。
 それは「マダム・ノアールの占い事件簿」だけでなく「ファイティング・マザー」も同様で、1場で最重要キーワードである「41歳には見えないよ」を抜かしてしまったときには血の気が引きました。そのあとのセリフを変えるわけにはいかないから「はっきり年言わないでよ」というセリフが取り残されてしまい、そこでまず「はっきり言ってないのに……」という矛盾が生じ、さらにそのあとに拓郎が「41歳がそんなに気になる?」と無理矢理セリフを変更して「41歳」を入れこんできたため、今度は「人の目」という4場につながる重要な伏線がすっぽり抜けおちてしまいました。
 編集もやり直しもきかないライブでは、一瞬一瞬が真剣勝負。研修生もそのこわさを身にしみて感じたのではないでしょうか。
 お客さんの反応は、この日はわりと控えめで、金曜昼と土曜昼の2回観たという友人は「金曜昼はカナちゃんがシーのチケットを出した時点ですでに1本目の作品とのリンクに気づいて笑ってたのに、土曜昼はまったく反応がなかった」と冷静に分析していました(笑)。
 
■5回目/桃組(2/14土夜公演)

 桃組千秋楽です。
 最後ということで、いい集中だったと思います。桃組は回を重ねるごとに調子をあげているように感じました。
 ただ、この日のお客さんは金曜昼と対照的で、ものすごーく年齢層が若かった!
 研修生のお友達とおぼしきお客さんが多かったように見えました。
 で、若いと明らかに反応する場所が少ないんですよ。ムッシュかまやつも40代以上でないと反応しないし、ましてや「東山千栄子」なんて誰も反応しない。
 この日、「東山千栄子に対するリアクションでその日の年齢層がわかるな」と確信しました。
 じつはこの「東山千栄子ネタ」が出てくるところですが、桜と桃では演技が違うんです。桃は普通なんですが、桜は団扇を持った拓郎が「東山千栄子さんがいいんだよねえ」と言いながら正座して団扇をあおぐ名シーンを再現するのです(これは桜拓郎によるこだわり演技プラン)。
 名前が出たところで笑うのが初級クラスだとしたら、この名場面再現で受けるのが中級クラスといったところでしょうか。
 ちなみに、金曜夜に最前列でご覧になっていた熊倉一雄さんは「団扇シーン」にかなり大爆笑されてました。
 …というと、「じゃあ上級は?」と聞かれそうですが、まあ「団扇を手にした時点で『あのシーン再現するな』と予測して笑うのが上級クラス」ってことにしておきます。
 桃組的には、前回(金曜昼)の反応があまりにも良かったので、この日は「笑いがこなくてあせった」と言っていましたが、べつに無理に笑わせる必要はないんだし、笑いがこなければダメなんだという強迫観念に陥ると、それが邪念となってかえって集中力を欠いてしまいます。
 そうは言っても役者としては「笑いが来る」のは嬉しいものだから、「笑い」にふりまわされて本末転倒になってしまうことってあるんですよね。喜劇役者はそういうとこはかなり冷静でストイックでないとやっていけないかもしれません。

■6回目/桜組(2/15日昼公演)

 桜組ラストで、なおかつ全体の千秋楽です。
 この日の反応もどちらかというとおとなしめでした。
 「マダム・ノアールの占い事件簿」はタイミングが微妙に合わず、1場から2場への転換でちょっとしたミスがあり、けっこうヒヤヒヤでした。
 「ファイティング・マザー」は、2場から3場にかけて、浮き足立ってるというか、テンポが早すぎて上滑りしているように感じたのがちょっと残念。もう少し緩急の「緩」のほうを落ち着いてはさめると「急」も生きたのではないかと思います。
 この日は、5年前に名古屋で初演したときに「拓郎」役を演じた梅林くんが観にきてくれました(現在、東京で役者活動中)。拓郎のセリフは今でもしっかり覚えているそうです。
 観る前はけっこう疲れ気味のご様子だったんですが、観終わったあとは(いろいろなことを思い出したのか)ものすごく高揚して、その後数時間、公演内容について熱く語りまくっていました。
 私よりも、むしろ研修生に語ってほしい内容でしたが、さすがに同じ作品にガッツリ取り組んだ経験があるだけに思い入れの強さが違います。。。
 かなり具体的な感想がきけて興味深かったです。
 どこまで本気かわかりませんが、「一度、両チームの拓郎を前にしてゆっくり語りたい!」と言ってました。勇気のある拓郎は申し出てください(笑)。

 以上、ざっとですが、6回の公演を振り返ってみました。
 1回しか観られないお客様(それがほとんどだと思いますが)は、「私が観た日は調子が悪かったの?」とがっかりされるかもしれませんが、これがライブの不確実性というものです。
 人間ですから、一生懸命やっても毎回同じようにはできません。それでも、その波をできるだけ最小限に食い止められるのがプロです。
 研修生は、お客様にとっては1回1回が「ただ一度の舞台」なのだということを胆に銘じて、これからの舞台に取り組んでいってほしいと思っています。

 長くなりましたが、このへんで。
 次は打ち上げの様子のレポートでこのブログをお開きにしたいと思います。


 

左は開場を待つ初日のロビー。
終演後はラッシュ時の電車のようになります。
右は開場を待つ舞台。

 

左は「マダム・ノアールの占い事件簿」冒頭のシーン。
右は「ファイティング・マザー」の3場のシーン。

  

左はカーテンコールで挨拶する出演者たち。
右は千秋楽を無事終えた楽屋で。


以上4枚の画像はテアトル・エコーのサイトから拝借しました。

 怒濤のような4日間が終わりました。
 お陰さまで、毎公演立ち見が出るほどの大盛況で、大入袋も配られました。



 ずっと稽古場で見続けている関係者は、正直、初めて観る人がこの舞台をどう判断してくれるのか、幕が開くまで確信がもてません。
 もちろん、「うまくなってきた」「よくなってきた」という感触は稽古中にある程度つかむことはできますが、あまり見すぎてしまうと、感覚が麻痺してしまうというか、まっさらな目で見ることが難しくなるのです。
 本当に喜んでもらえるのか。楽しんでもらえるのか。
 下(↓)の記事にはああ書きましたが、内心は「大丈夫」「でも本番は何が起こるかわからないし」…とエンドレスに葛藤が渦巻いていました。

 まず最初の関門は、初日(12日)の午後に行われた先発チーム(桃組)のゲネプロ(通し稽古)。
 ゲネプロは本番とまったく同じ段取りで行われる直前の最終稽古ですが、今回はエコーの劇団員の方がかなり観にいらしていて、研修生たちは早くも大緊張。
 劇団の方は普段からコメディを専門にやっているプロばかりですから、まあ言い方は悪いですけど「すれて」います。
 そう簡単に笑ったり泣いたりはしてくれないし、特に研修生の公演となると「今年はどういう子がいるのかしら」という視察が目的のメインになるため、比較的冷静な視線で観にこられる方が多いと聞きました。
 開演前のマエセツ(携帯電話をきれとかそのたぐいの説明)に研修生が登場したときから、すでに劇団員からつっこみの洗礼が(笑)。
 いや、愛情だと思うのですが、それで研修生の緊張はますます上昇。「すいません!すいません!」と無闇に謝りながらトイレの場所ひとつ説明するのにもしどろもどろの状況に。

 やがて1作目の「マダム・ノアールの占い事件簿」が開幕。
 ……やば。皆、すっごく緊張してるよ
 稽古ではなかったようなセリフの言い間違いも目立ち、観ているこっちも心拍数があがってしまいました。
 隣を見ると永井さんも緊張の面持ち。
 緊張って移るんですよ〜、どんどん。
 でも2作目の「ファイティング・マザー」では1作目ほどの緊張は見えず、劇団員の方からの笑いも活発に起きるように。
 と安心したのもつかの間、1場と2場の転換時、幕前芝居で上手に寄りすぎた望月が、上手から運び込まれる美容室の椅子とぶつかってしまい、椅子の下の部分がはずれてしまうというアクシデントが!
 あせって必死に上下をくっつけようとする転換担当の研修生。でもどうやっても元に戻らない。
 ブリッジの音楽が終わったら明るくなって2場が始まってしまう!
 どうする!どうする!
 そこへ現れる救世主・金子さん。
 さあ、今こそ舞台監督の腕の見せ所。頼む〜、金子さん!
 が、やっぱり椅子は現状復帰できず、あっさり諦めた金子さんは、うす暗がりの中でゆっくりと客席に一礼したあと、そのまま壊れた椅子を撤収。
 結局、2場は1つの椅子だけで通したのでした(本来は2つ並んでいるんですが)。
 いやー、さすがです、金子さん。
 これがナマもののこわさというものなんですね。でも本番でなくてよかった。

 その後は特に大きなアクシデントもなく無事にゲネは終了。
 カーテンコールでは、緊張が解けて泣いてしまいました(私が)。
 「よくここまできたね」という、もうほんとに親の気分
 劇団員の方の反応もとてもよく、「ゲネだけ観にくればいいと思ったけど、もう1チームも観たくなった。また本番に来るわ」と言われたときは本当に嬉しかったです。

 というわけで、続きはまた次回!
 初日まであと3日。
 早いものですが、今日が稽古場で稽古できる最後の日になりました。
 小屋入りしたあとはもう仕込みや明かり合わせなどのスタッフワークがほとんどで、稽古らしいことをする時間はありませんから、事実上の最終稽古です。
 午後1時にスタートし、「桜マダム」→「桜マザー」→「桃マダム」と続き、6時半すぎに最後の「桃マザー」が終了。

 最後の稽古場というのはなんだかさびしいものですね。
 本番はまだこれからなのですが、なにかが確実に「終わってしまった」感じがします。
 「終わりの始まり」とでもいいましょうか。
 千秋楽は研修生との、さらにいえば研修生同士の別れの瞬間でもあります。
 その最後の瞬間に向けて、明日から一気に走り抜けていくんだなと思うとちょっと感傷的な気分に…。
 「ファイティング・マザー」の幕開きの音楽に合わせてロッカーの後ろで踊っていたスタンバイ中の拓郎やカナちゃんや望月の姿も、もう二度と見られないんだと思うとなつかしく思い出されてしまいます(今日見たばかりだけど)。

 今だから正直に言いますが、稽古を見に行った最初の頃は「本当に大丈夫なのか?!」と思ってました。
 「やっぱり年齢的に無理があったんだろうか」「これで本番までに間に合うんだろうか」などなど、口には出せない不安がいっぱいでした。
 でも研修生たちは頑張りました。
 特に2月に入ってからの成長ぶりはめざましいものがありました。
 最後の稽古では、成長した研修生たちの姿と登場人物の成長がだぶって思わず涙ぐみかかりました。
 今は「みんな、自信を持って初日の舞台に立ってください!」と送り出したい気持ちです。
 今の彼らなら、本番中のあらゆる体験を糧にしながら、さらにどんどん進化していけるはずです。
 その瞬間を一人でも多くの方々に見ていただきたいです。

 チケットの状況ですが、土曜昼、日曜昼に続いて土曜夜公演も売り止めになりました。これで土日の3公演はすべて売り止めです。初日の木曜夜公演ももうまもなく売り止めになりそうです。
 今回、いつもより2公演増やしたのでどのくらい集客できるのかが心配されましたが、こんなに次々と売り止めが出るとはありがたい限りです。

 長らくお送りしてきた稽古場レポートですが、今日でひとまず終了します。
 皆様、最後までお読みくださり、ありがとうございました。
 次は、本番の様子をお届けします!(公演が終わったあとの更新になると思いますが)
 では、エコー劇場でお会いしましょう。

 以上、最後の稽古場レポートでした。



稽古終了後、公演(稽古)期間中に誕生日を迎える研修生に
先輩方からケーキのサプライズがありました。


 今日は3日ぶりに全チームが集合。稽古場に再び活気が戻りました。
 1時に「桃マダム」からスタートした通し稽古ですが、「桃マザー」→「桜マダム」→「桜マザー」と続き、7時すぎに稽古終了。
 私も今日は久々に全チームを観ることができました。

 あらためて全チーム通して観ると、当たり前だけど「やる人」が違うと全然違うなーと感じます。
 もちろん、普通にやっても同じには決してならないのですが、永井さんがじつにうまく各自の個性を生かしているため、何倍にもおいしい仕上がりになっているように思います。
 今日は一葉会仲間の凪野さん(2/27〜3/1のテアトル・エコー「オーディオドラマライブ」に凪野さんの作品が登場します)が稽古見学に来てくださいましたが、やはり両チームの違いに驚いていて、終わったあとはその違いについて熱く語りたそうでしたが、残念ながら今日は語る時間がないままお別れになってしまいました。
 本番も2チームご覧になるそうなので、そのときはぜひあらためて熱く語ってくださいね、凪野さん。

 さて。テアトル・エコーHPの稽古場日誌にも載っていますが、今回は転換が大変なことになってます。ごめんなさい。私のせいです。
 最近のお芝居は「一杯飾り」といって最初から最後までひとつの装置で通す形が多いのですが、今回はまず2本上演するので、その時点で装置が2つは必要になります。
 さらに、「ファイティング・マザー」は4場あって、その都度場所が変わるので、転換のための時間が各1分強ずつかかってしまいます。
 あまり具象的な装置を飾っても転換の難易度が上がるだけなので、今回は装置の笠田さんのアイデアで、シンプルな「引き枠」の組み合わせでいろいろな場所を作りだすようになっているのですが、それでも転換場面は大混乱

 大道具だけでなく、場面に合わせて小道具も総取っ替えするので、その作業がなかなか大変なのです。
 転換は研修生が総動員で行うので、人手はあるんですが、多いだけにうまく担当を決めておかないと混乱に拍車がかかります。
 転換の間は望月他によるスピンオフ芝居が幕前空間で繰り広げられるのですが、なんか今は後ろで行われている転換の方が心配になって幕前芝居に集中できません(笑)。
 今は明るいところでやってるからいいけど、本番は真っ暗な中での転換になりますからもっと大変です。
 しかも劇場で通せる時間は今回特に少ないし。。。
 と、ネガティブ要素ばかり並べてしまいましたが、「火事場の馬鹿力」という言葉もありますし、研修生のチームワークの良さで本番はバッチリ決めてくれる……かな?(←キイナ風)
 本番、転換がパーフェクトにこなせたら皆さんその都度拍手してあげてくださいね(←嘘)。

 いろいろ心配は尽きませんが、とにもかくにも初日まであと5日です。
 本日、土曜昼公演と日曜昼公演がめでたく「売り止め」となりました
 次に「売り止め」が近そうなのは土曜夜公演。お席に余裕があるのは金曜夜公演です。
 これから申し込まれる方、ご参考に…。

 明日は小道具のための最終作業日で稽古はお休み。
 月曜日が稽古場での最後の稽古になります。 
 今日のレポートはこのへんで。
 前回、「にぎわってきた稽古場」と書きましたが、今日は稽古場の扉を開けたとたん、「あれ、人口密度……少ない?」と思いました。
 その理由は……今日は「マダム・ノアールの占い事件簿」のみの稽古日になったため、マザーチームのメンバーはお休みになったから。
 明日は逆にマダムチームがお休みになるようです。
 もちろん、休みだけど勉強のために自主的に出てきて転換のお手伝いなどをしている研修生もいましたが。
 いくら若いとはいえ、研修生の皆さんもさすがにお疲れがたまってきた様子。本番に向けて充分な気力体力を蓄えるための充電日も必要ですよね。

 気がつけば、お芝居に使う小道具も徐々に揃ってきました(小道具も研修生たちが自分で集めています)。
 小道具といえば、「マダム・ノアールの占い事件簿」で厄介なのが占い師の商売道具である「タロット」です。
 このカードの扱いというのが意外に難しい。
 しかも、今回テーブルクロスとして敷いた布が薄くて滑りやすいため、その上でカードを広げたり集めたりするたびにクロスが一緒に動いてしまい、マダムは四苦八苦。
 見かねた音響の山崎さんが「もう1枚すべりにくい布を上に敷いてみたら?」と提案。
 山崎さんはエコーの知恵袋と言われていて、電車の音だけじゃなく(笑)いろいろなことをなんでもよくご存知です。

 うまくカードが扱えなくてあせっているマダムに、「だからさー、これをこうしてこうしてこ−いうふうにすれば…」と実際にやってみせる山崎さん。
 山崎さんの知恵に「ほー」と一同感嘆の声。
 永井さん「おじいちゃんの知恵袋って感じだねー」と一言。
 以来、山崎さんが知恵を出して問題を解決してくれるたびに「ありがとう、おじいちゃん」とお礼を言うようになった永井さん。
 最初は「おじいちゃんてなんだ。おじいちゃんじゃねーよ。俺はおまえより年下だ」と言い返していた山崎さんですが、何回も言われているうちになじんでしまったのか、最後の方は「いーえ。どういたしまして」と自然に「おじいちゃん」を受け入れるように。
 まずいですよ、山崎さん。「おじいちゃん」になりかかってますよ〜

 今日から一般発売日。
 エコー劇場チケットブースでの販売も開始されました。
 そして小屋入りの10日から本番にかけてのスケジュールも舞台監督から発表になりました。
 小屋入りしてから本番まではやることがいっぱい。ここで時間がたくさんとれるのにこしたことはないんですが、たいていはギリギリになります。
 特に今回は2日後の夜には初日を迎えるというかなりのタイトスケジュール。
 ただでさえタイトなのに、2チームあるので当然時間も2倍かかります。同じ作品でも細かい演出が違ってたりするので、音響や照明のタイミングもまったく同じというわけにはいきません。
 ゲネの時間がちゃんととれるのかどうか心配です。
 初日まで1週間。
 ドキドキの毎日です。 

 今日のレポートはこのへんで。
 いよいよ2月に入りました。
 月が変わると本番がぐっと近づいてきた感じがします。
 舞台監督の金子さんも、音響の山崎さんも、ヘアメイクアドバイザーの吉田さんも、制作の野口さんも顔を揃え、稽古場の活気がどんどん増しています。
 音響も、確定ではありませんが少しずつ入ってきてます。
 電車の音を流しながら嬉しそうに「ほらね、小田急線でしょ?」と隣の私に同意を求めてくる山崎さん。
 ごめんなさい。私にはわからないです〜

 今日、目立ったことといえば……髪を切った人が多かったこと(笑)。
 本番は、皆さん当然地毛で役を演じることになるので、役に合った髪型にしておかなくてはなりません。
 たしかに、本番間際で美容院に行くと「いかにも美容院行ってきました」という感じの髪型になってしまうし、ある程度顔になじむまでの期間を計算に入れると、今ぐらいに行くのがちょうどいい時期なのかもしれません。
 なによりも昨日は久々のお休みだったので、その休みを利用した人が多かったんでしょうね。
 かくいう私もそろそろ髪を切りにいこうかと思っているところです。
 立春で年があらたまることだし、本番に向けて気をひきしめるためにも、美容院に行くのはいい気分転換になりそうです。

 今日の余談。
 永井さんが左脚に肉離れをおこしたそうです。
 見せてくれなくてもいいのに患部を見せられ、いや、拝見させていただきました。
 太もも全体がネットで覆われて焼豚のような状態になっていました。
 なにかとても過激な運動をしたのかと思いきや、「いやー、稽古終わって自転車で帰ろうと思ったら、漕いだ瞬間に肉離れおこしちゃって…」とのこと。
 それは……自転車のせいというより、長時間稽古場で座りっぱなしのため、「エコノミー症候群」になったのでは??(笑)
 寒いと筋肉も固まりますからね〜。
 じっと動かないというのも体によくないのかもしれません。
 くれぐれもお大事に。
 
 今日のレポートはこのへんで。
 今日は舞台監督+照明+ヘアメイクが稽古に入ってました。
 劇団員の方も見学にみえるようになり、徐々にギャラリーが増えてきています。
 研修生の皆さんもギャラリーが多いとやりがいがあるのではないでしょうか。

 私は、この日も滞在時間が短かったので、「桃マダム」と「桜マダム」しか見られませんでした。
 現在、永井さんからのダメだしは細かい動きが中心で、かなり具体的な指摘が多いです。
 研修生も少しずつ演技に余裕が生まれていて、独自の工夫が日々増えていってるのがわかります。
 「あ、今日はここが変わってる」という発見を楽しみながら見学できるのは、稽古に通う醍醐味のひとつです。
 初日まであと2週間きりましたが、ギリギリまで進化を続けてほしいですね。

 余談。
 エコー制作が発行しているメルマガに今回の研修生公演の情報が掲載されました。
 が、読んでいて「19名の研修生から、今年は何名が劇団に入れるのでしょうか」という一文が目に入って「??????」。
 研修生は20名ですよ〜。
 それとも稽古場に座敷童子がいるのか?!
 稽古場に見えていた制作の白川さんに「研修生が見たら最初から資格剥奪されてる1人って誰なんだって悩んじゃいますよ〜」と言ったら「いや〜、申し訳ない。でも研修生はどうせ見てないから大丈夫ですよ」と一言。
 その瞬間、背後から「見ました…」と恨みがましそうな声が聞こえてきてあせる白川さん(笑)。
 大丈夫、研修生はたしかに20人いますよ、皆さん!
 嘘だと思ったら、本番観にきて数えてみてください。
 ここに謹んで訂正いたします。
 
 今日のレポートはこのへんで。

 今日は音響の山崎さんが稽古に入ってました。
 こだわりの山崎さんのプランがこれからどう仕上がってくるのか、とても楽しみです。
 この日はあまり滞在できなかったので、「桃マザー」の終盤と「桃マダム」までしか見られなかったのですが、通しではなく、止めながらやっていました。

 「ファイティング・マザー」は、主要キャストの年齢設定が、研修生の実年齢よりもかなり上になります。下手すると倍近いかも。
 しかも、リアルなタイプのお芝居なので、おもしろおかしくデフォルメするわけにもいかず、なかなか難しいと思います。
 永井さんからは、「役の年齢に近い役者がやれば難なくクリアできることも、苦労して作り上げなくてはならないので大変だと思うけど、そこはマイナスに考えず、若いからこそ出せる『勢い』や『いきの良さ』を生かしてほしい。ただし『勢い』だけで浅くなっちゃわないようにね」というアドバイスが。
 うーん、難しいですね。
 『いきの良さ』と『深さ』………大きな課題です。
 皆さん、頑張って!

 「マダム・ノアールの占い事件簿」の見せ場の一つは、終盤に出てくる「マダムの異変」です。
 ここは桜と桃、きっちり違う演出なので要注目ですよ。
 個人的には、この場面の「桃マダム」が「貞子」のようでこわいです(笑)。髪型の効果もあるかもしれないですが。
 というわけで、「桃マダム」のこのシーンはちょっぴりホラー風味です
 
 今日のレポートはこのへんで。

 今日は舞台監督の金子さんが稽古に出ていらっしゃいました。
 舞台監督ってなにをする仕事なのか、おそらく一般の方はよくわからないでしょうね。
 私もいまだによくわかってないんですが(笑)。

 監督とついているので、演出の仕事と混同する人も多いかもしれません。
 実際、映画では演出の仕事をする人が「監督」と呼ばれますし。
 でも、演劇業界では、演出と舞台監督はまったくべつの仕事です。
 「演出」は、稽古を通して台本の内容を形にしていく稽古場の総責任者ですが、「舞台監督」は、本番当日の舞台裏を仕切る「指揮官=総責任者」です(お客の対応にあたる表方の指揮官は制作)。舞台監督がいなければ幕が開かないし、舞台監督がいなければ幕は降りません。

 舞台監督は、本番を滞りなく進行させるために、豊富な知識と経験を駆使して、事前に予測できるあらゆる問題点を洗い出し、クリアしておかなければいけません。そして本番で不測の事態をが起こった場合は、柔軟な判断でそれを切り抜けていきます。
 ……ってそんな感じの説明でいいんでしょうか。
 なんとなくそういった役割のアウトラインはわかるんですけど、じゃあそのためにどんな具体的な業務を行っているのかと言われると私にはわかりません。
 でも、舞台を進行させるには、素人には思いもよらないくらいさまざまな段取りが必要なのだということははたで見ているだけでもわかります。

 金子さんの仕事ぶりは一言でいって「孤独」。
 稽古場では、演出・助演出・役者がコミュニケーションを重ねながら作品を作り上げていきますが、その中にあって金子さんは一人だけただ黙々と自分の作業に没頭していて、孤高の世界を作り上げています。稽古も見てません。いや、稽古に出てきているんだから要所要所は見てるんだと思いますが、他の人のようにじーっと芝居の中身を見ているというのではなく、もっと全然違う視点で見ているようです。

 隣でカリカリとひっきりなしになにかメモしている金子さん。
 装置の模型をじっと見ながら思い詰めている金子さん。
 見てないのかと思ってると、いきなり稽古をとめて「すいません。そこの出入りは××でいいんでしたっけ。●●だとあとでそっちが△△になっちゃって◆◆なのでは?」と誰も気にとめていないようなことを冷静に指摘&確認する金子さん。
 なんかそこだけ異次元で、次に何をし始めるのかまったく予測がつきません。
 舞台進行上のことだけに気を取られているのかと思いきや、前の公演のときには、これまたいきなり台本のセリフに出てくるレシピの内容に矛盾があると指摘してきたこともありました。
 そして気がつくと……いつのまにか消えてるし!
 稽古期間中の舞台監督は、神出鬼没でまことにミステリアスです。

 この日からは、装置がひもとテープでバミッた「平面」ではなく、高さ10センチほどの平台になり、少し本物に近づきました。
 今日のレポートはこのへんで。

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公演詳細
「マダム・ノアールの占い事件簿」
「ファイティング・マザー」


作  ●唐沢伊万里
演 出●永井 寛孝
出 演●テアトル・エコー研修生(5期)20名
公演日●2009年2月
    12日(木)19;00(桃)
    13日(金)14;00(桃)/19;00(桜)
    14日(土)14;00(桜)/19;00(桃)
    15日(日)14;00(桜)
         計6回公演
料 金●2,000円(全席自由)
会 場●エコー劇場(恵比寿)
問合せ●テアトル・エコー
※公演は無事終了しました
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プロフィール
HN:
唐沢伊万里
性別:
女性
職業:
劇作家
自己紹介:

東宝アカデミー劇作家養成講座修了
劇作家集団「一葉会」メンバー

<受賞歴>
「ファイティング・マザー」
(名古屋文化振興賞戯曲部門入選)
「病院ミシュラン」
(テアトル・エコー創作戯曲賞佳作入選)

<上演歴>
「マダム・ノアールの占い事件簿」「ファイティング・マザー」「ハーフムーン」「セッション」
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